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VALUを考察する

(この記事は約15分でお読み頂けます。)

 

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VALU(バリュー)

昨今、良い意味でも悪い意味でも聞く「VALU」ですが、私なりに纏めて考察してみようと思います。
様々なクリエイターさんが気になられているご様子で、少しでも参考になりましたら幸いです。

※本記事は2017年9月のものです。間違った部分がありましたらご指摘お願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

VALUとは?

valu.is

 キャッチコピーは、

「だれでも、かんたんに、あなたの価値をトレード。」

 

大正義Wikipedia先生にはこのように書かれています。

VALU - Wikipedia

名称の由来は「VAL(VALUE=価値) + U (YOU=あなた)」。個人が株式会社のようにVAとよばれる擬似株式を発行することができ、売りに出されたVAは自由に売買することができる。取引は全てビットコインを用いて行われる。

 

 (中略)

 

寄付型クラウドファンディングと異なるのは、VALUにおいてはクラウドファンディングの寄付にあたる行為をVAの購入という形で行い、このVAは株式と似たような形で売却することができるため、支援者(VAの購入者)は支援を行った上で支援額を回収できたり、売却益を得ることができる可能性がある点である。

 

クラウドファンディングとは異なる、というのがポイントです。

これでは難しくてわからないと思いますので、先人の知恵をお借りして、大変分かりやすい解説を貼らせていただきます。

 

rick08.hatenablog.com

増澤 陸(Rick Masuzawa)さんのブログ「それ、僕が図解します。」より。

 

大変分かりやすい!

 

1コマで図説するならこんなかんじ。

 

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  • 発行者は自身の価値(VA)を売却し、資金を得る事ができる。
  • 支援者発行者のVAを購入し、VA+優待を受ける事ができる。
  • 支援者第三者(購入者)にVAを売却し、売却益を得る事ができる。
  • 支援者は売却したVAの優待を受ける事はできない。

 

クラウドファンディング+株式のようなもの。

少しずつ分かってきましたね。

 

 

 

VALUのメリットとデメリット

さて、ここで発行者支援者(購入者)その他の目線から、ファクトベースと想像できる先の可能性を幾つか交えて、メリットとデメリットを考察していきます。

増澤 陸(Rick Masuzawa)さんのブログ「それ、僕が図解します。」より、「作家が同人誌を出す」という例をお借りしましょう。

 

発行者のメリット

知識や技術から資金を生む事ができる

発行者は得意とする分野の知識と技術から資金を生む事ができます。
皆様は何が得意ですか、何の知識に長けていますか。

例えばですが、今までSNSで凄まじいクオリティのイラストをアップしていた方が待望の同人誌を出すとなると、それだけで欲しい方が多くVA価値が大きく上がる可能性があるのではないでしょうか。

 

先行投資がほぼ無い

発行者の価値を擬似株式であるVAとして取引するので、先行投資がほぼありません。
資金を得てから作業に取り掛かる事も可能です。

起業して上場するのと比較すると、時間も資金もかなりの差ではないでしょうか。

ちなみにVALUでも自らのVAを売却できる状態にあることを”上場”と言うようです。

 

優待特典の自由度が高い

優待とは、VAを購入してくれた方への特典のようなものです。そのまんまですね。
Kickstarter(クラウドファンディング)でいうところのEARLY BIRDSのようなものでしょうか。

「権利確定日に〇〇VA持っていたら新刊をお渡しします!」

でも良いですし、

「〇〇VA以上で販売予定の無い限定クリアファイルをお渡しします!」

でも良いかもしれません。
付加価値にかなりの自由度があります。

ただし、配当金のような金銭的見返りを約束するものや、換金性の高い物は禁止とされています。
これはVALU利用規約に明記されています。

valu.is

詳細につきましては「第11条 優待特典」をご確認ください。

 

VAの将来性がある

知識や技術(画力や文章力)が成長するほど、制作物の価値や人気が上がる可能性があります。

次第に大きなサークル化していきコミケでは人気すぎて入手できない可能性があると、
「優待で入手できるなら...」と確実に手に入れたい支援者が更に高値でVAを購入するかもしれません。

 

 

発行者のデメリット

言動によりVA価値が落ちる可能性がある

コミケ前のTwitterではよく見るネタですが、
「進歩ダメです。」「納品日が明日なのにまっさらです。」
なんてつぶやきをしようものならVA価値は下がる可能性があります。
もちろん「優待ご用意出来ませんでした。」なんて確定した事実をつぶやくのもアウトでしょう。

発行者はいつも以上に言動に気を配る必要がありそうです。

もちろん毒を吐きたいなら鍵垢で。
あるいはVALUを使用するアカウントは別にする必要があるかもしれません。

 

言動により信用を落とす可能性がある

前項と似たようなものですが、VA価値ではなく信用に注目してみます。

進歩がダメなのに娯楽に時間を費やす、普段から目につく言動をしている(他人の悪口を吐いている、気に入らない人を晒す等)。
そんな言動があると信用を大きく失い、VA価値の下落はもちろん今後もVAを購入してくれる方が減るかもしれません。

 

フォロワー数に応じVA発行数が決定される

発行者のVA数はSNS(Twitter、Facebook、Instagram)のフォロワーによって決まります。

とてつもなくイラストが上手な発行者さんでも、普段SNS等使わずフォロワーが少なかったら十分に配布できるVAが得られません。

当然ですが少ないVA発行数では十分な資金に到達できないかもしれません。

 

 

支援者(購入者)のメリット

VA優待を受ける事ができる

いわゆる株主優待のようなものですね。
発行者の設定した優待に合わせ、受け取る事が出来ます。

先述の通り、配当金のような金銭的見返りを約束するものや、換金性の高い物は禁止とされています。

 

VA価値上昇の可能性がある

こちらも株と一緒。
擬似株式であるVAを、売却する事で売却益を得る事ができます。

購入額よりも高値で売る事で儲けが期待できます。

 

支援者(購入者)のデメリット

優待が受けられない可能性がある

発行者の体調不良はもちろん、不慮の事故等で優待が受けられなくなり、VA価値が落ちる可能性があります。

残酷で情のない言い方をしますが、支援者からしてみたら、発行者の体調や事情なんてどうでも良いのです。優待(今回の場合は同人誌の新刊)の内容でVA購入をしている方がほとんどでしょうから。

 

VA価値下落の可能性がある

先述の通り、発行者の発言一つでVA価値は変動します。

「インフルエンザになりました。新刊ご用意できません。」なんてつぶやきが出ようものなら、「目当ての優待を受けられないなら...。」とVAを手放す支援者がいるかもしれません。

優待が受けられないわ、VAの売却益は損するわで大惨事になりそうです。

 

 

 

 

 

VALUの問題点

資金はビットコインのみ

これが非常に気になります。
現金ではなく仮想通貨のビットコインのみです。

下のチャートをご覧ください。

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こちらはビットコインの日足です。

ローソク足1つで1日の変動を表すものなのですが、強烈な上下幅(ボラティリティ)があります。
日によっては1日だけの変動で約7~10万円も上下していますね。

せっかくVAの売却益を入手しても、ビットコインの上下幅で利益をすっ飛ばしてしまう事も少なくないように思います。
もちろん逆もしかりですが、投資対象物は上がるより落ちる方が約1.5倍速いと言われています。

順調に右肩上がりの様子のビットコインですが、果たして今後もそうでしょうか。
「山高ければ谷深し」が相場の名言です。
(個人的には調整前の終盤上げのような気がしますがどうだろう...。)

 

ビットコインの現在のチャートにつきましてはこちらをご確認ください。

chart.bitbanktrade.jp

 

容易な情報操作

つい先日、有名YouTuber数名+所属会社顧問がVALU問題で炎上した事をご存知でしょうか。

Yahooニュースにも取り上げられていましたね。

headlines.yahoo.co.jp


人気Youtuberというのもあって連日ストップ高の買い注文が続いている中、何の告知もなく自身の保有していたVAを売却したというもの。

当然その後VAは大暴落。
ほとんどの人が損をした中、当該YouTuberは数千万円の利益を得たというものです。

中でも問題視されているのは、当初記載されていた優待の記事を削除していた件で「優待で買い煽りをしたのではないか。」「市場操作をしたのではないか。」と声が上がり炎上しました。

炎上後、当該YouTuberは保有ビットコイン全額で最高値の自社株買いをするという措置がとられます。
問題は解決するかと思いきや、この問題に関与していた可能性のある所属会社社長が突然の辞任を発表。

その後もVALUと所属会社をめぐる問題が多々上がっているようです。

 

twitter.com/tpdoxs6stux/status/899845350239813632

 

 

閑話休題。

話が脱線してしまいましたが、ある程度の発言力があれば、ある程度の情報操作も可能であるのが問題点かと思います。
まるで、大口投資家が図体のデカい売りを隠す為に、メディアで情報操作をするような感覚でしょうか。

投資の世界なんて得をする人の影には損をする人が多数いますからね。

 

優待の転売

限定品の配布という強い付加価値の優待があったとしても、転売される可能性が考えられます。

有名な作家・クリエイターさんであるほどに限定品の転売価値が高くなる傾向にあります。
コミケ後のヤフオクが転売地獄なように、限定優待後も転売が起きそうです。

 

 

 

VALUをどう生かすか

ここまででは魅力以上にデメリットが多いように感じますが、上手に使えば素晴らしいものだと思います。
ここでは「作家さんが同人誌を作る」以外の例も挙げて考察してみます。

 

①同人作家の例
今年2017年の夏にC92があったわけですが、この段階でC95の資金を募集する旨でVAを売り、優待はC93の新刊+αをお渡しするなら買い手がつきそうです。

順調な進歩を定期的にSNSにアップすれば支援者も安心しそうですね。

 

②同人作曲家の例
「SNSで有名な方で集まってミニアルバムを作る予定です。新しいジャンルの開拓で、音源購入の為の資金に使います」と支援者を募るのもアリではないでしょうか。
もちろん完成後は支援者に優待で配布するようなかたちで。

作曲家のファンはもちろん、気になるジャンルであれば支援者も増えそうです。

「なんで評価されないの!?」みたいな作曲家さんも注目されるチャンスかもしれません。

 

③コスプレイヤーの例
「○○の衣装を製作する為、資金を募集しています。優待は普段SNSにアップしないオフショットやコスプレの裏側を語ります。」といったVAにも買い手が多く現れそうです。

というか実際にVALUで検索してみたらそんな発行者が結構いらっしゃいました。
支援者もたくさんいらっしゃいますね。

KAWAIIは正義ですからね、仕方がない。

 

 

 

 

 

まとめ・あとがき

ファクトベースと想像できる幾つかの可能性を交えて纏めてみました。

クラウドファンディングや株式など複数のジャンルにオーバーラップした、斬新なフィンテックコンテンツだと思います。

しかし私個人的な意見ですが、発行者支援者もメリット以上にデメリットを感じてしまうのが本音です。

 

発行者は、約束(優待)は何があっても確実に守れる、常に人から見られている事を考えて言動できる聖人みたいな人でないと難しいと思います。私は絶対にムリ。

支援者は優待に魅力を持たなければ購入しないでしょうし、売却益をメインで出したいのならそもそも株をやればいいのでは、と思います。
というか個人的にはVALUするなら株のほうが断然おススメ。

また良いところでもあり悪いところでもあるのは、企業ではなく個人への投資という部分。

良い評価も悪い評価も個人に入りますし、応援の声も怒りの矛先もその個人に向かうわけです。
やろうと思えば個人情報の特定すら可能な時代、少々怖く感じます。

 

私なりにVALUを纏めるなら。

発行者の発言や行動でVA価値が大きく変わるなんて、毎日決算発表やIR(開示情報)が出る株を持っているようなものではないでしょうか。


たとえ話をひとつ。

投資に興味の無い方もご存知、ここ数年いろいろありすぎた東芝(6502)の月足チャートです。

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うーむ、すごい上下幅。

「今季の決算はプラス〇〇億円の予定でしたがマイナス〇〇億円でした!」
「東証一部から東証二部になりました!」

なんてニュースがでた後の株価の動き方は皆様もご存知の通りです。

VAも株同様に価値が下がるに下がってボロ株ならぬボロVAにもなる事もありえるかもしれません。

 

リスクリターンを考え、計画的なVALUの利用をお勧め致します。

 

拙い文章ですが、最後までお読みいただきありがとうございました。