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Ergohuman Pro
ハイエンドPCチェア界の中で激しい競走が展開されている中、最も知名度の高いチェアといっても過言ではないのでしょうか。
長年使ってきたPCチェアもへたりきってヨレヨレになってしまったので、思い切って買い換えてしまいました。
何倍煎じかわからない簡単なレビューと、他ブログではありそうで無かったギターを趣味とする者のレビューも残しておきます。
長文になってしまいましたので、コーヒー片手にご閲覧ください。
忙しい方向け簡単レビュー
- 大きい(横655〜670mm × 奥行き655mm × 高さ1160〜1300mm)
- 重い(28.3kg)
- 調整可能な部分が多い
- 前傾・後傾どちらも可能
- 長時間座ってこそ真価を発揮する
- アームレストが簡素
- アームレスト付きでもなんとかギター弾ける、邪魔なら外せる
- ヘッドレストの前後調整機能が欲しい
吟味
欲しいスペックの確認
購入前段階として欲しいスペックを再確認します。
今やたくさんのチェアがありセールスポイントもまったく違います。
- 前傾タイプのアーロンチェア
- 後傾タイプのコンテッサ
- 前傾・後傾タイプのエルゴヒューマンプロ
ほぼ同じグレードとして比較検討される上記の3つを試したり、たくさんのレビューを読んで欲しい要素を固めました。
- メッシュ生地
- 暗めの色
- 調整可能なパーツが多い
- 前傾・後傾どちらも可能
- アームレストが簡素
これらについて順にご説明いたします。
1.メッシュ生地
近年のハイエンドチェアはとことんメッシュ生地が使われていますね。
革張りは高級感こそあるものの、使用による汚れやへたり等のメンテナンス性が気になるのでメッシュが好ましく思った次第です。
2.暗めの色
お店で試し座りをした事がある方なら納得いただけるかと思いますが、明るい色の場合だとヘッドレストなどの肌が当たる部分が黄ばんでいたり汚れていたりするんですよね(笑)
ヘッドレストに頭を乗せればその周囲には皮脂がつくのは当然ですし仕方がないですが、せめて目立ちにくいものが良いです。
3.調整可能なパーツが多い
これは好みなのかもしれませんが、パーツが多いほど微調整が効きます。
いつも使うデスクの高さや所有者の楽な姿勢、趣味などの生活背景によってベストなパーツ位置が違います。
これらにピッタリ合うように調整してこそチェアの真価を発揮すると思います。
4.前傾・後傾どちらも可能
チェアに何を求めるかにもよる部分ではありますが、
前傾タイプは作業・仕事向け
後傾タイプは休憩・リラックス向け
上記の理由で選択するのが一般的ではないでしょうか。
作業も休憩も同じ場所で取りたい欲張りなので、どちらも可能なものが望ましいです。
5.アームレストが簡素
以前より使っていたPCチェアはよくある安価なメッシュチェアでしたが、趣味のギターを弾く時に邪魔になるので外して使っていました。
サイドがスカスカな椅子に慣れているので、アームレストの重要性はあまり感じていないのが実際です。
ギターを弾く際に邪魔なら外してしまおうと思っているくらいなので、他ハイエンドチェアのようなアームレストに機能が集約されたものは好ましくありませんでした。
これら5つの要素にすべて該当したのがエルゴヒューマンシリーズでした。
ErgohumanのProとBasicの違い
「エルゴヒューマンに決めた!」
といってもProとBasicがラインナップされています。
パッと見ただけでは分からなくて混乱しましたが、公式に分かりやすい説明がありました。
丁寧な解説があるのでぜひ読んでいただきたいですが、要約するなら以下の通りです。
- 座面の前傾角度が調整可能なのがPro。
- ヘッドレストが曲線的でフレームがアルミなのがPro。
- 腰部分のアルミフレームが縮まっているのがPro。
僅かな違いしかないようです。
Basicの時点で剛性は十分すぎるほどあるので、ProとBasicは座面の前傾調整が出来るか否かで決めると良いかもしれません。
前傾・後傾どちらも欲しい私はもちろんProを選択しました。
また、Proのバリエーションの中に「Ottoman」という足置きのついたモデルがありますが、これはタブレットスタンドと違って後付けできません。
これは好みなので座って確かめた方が良いと思いますが、あのオットマン位置は再考案件だと思います。
私は好みではありませんでした。
購入
という前項「吟味」の末、エルゴヒューマンプロを購入しました!
エラストメリックメッシュの黒。
オットマンが付いていない通常仕様のProです。
あまりの大きさと重さに腰を痛めかねませんので二人掛かりで部屋に搬入しました(笑)
ちなみにこちらの椅子は、リクライニング時にガタガタギーギーと異音がなるので大変お安く購入出来ました。
異音対策については後ほどご説明いたします。
外観から見ていきます。
前額面(正面)
横幅も高さもあるので圧迫感はありますね。
メッシュ部分
これがエラストメリックメッシュです。
公式に書いてある「弾力があり吸い付くような手触り」はまさにそんな感じ。
物を落とすとバイーンと跳ね上がるくらいの弾力です。
この他に3Dファブリックメッシュが選択できます。
3Dファブリックメッシュは掃除が大変そうな事と、夏場暑そうなのでこちらにしました。
矢状面(右側)
矢状面(左側)
アームレスト
アーム部分は前後・左右・開閉が調整できます。
前後・左右は固定されていないのでスライドするとすぐに動きます。
横のボタンでアームレストの高さが調整可能です。
柔らかい素材なのでデスクや楽器にぶつけても傷はつかないと思います。
レバー部分
公式では「ハイブリッドレバー」と呼ばれるこの部分。
エルゴヒューマンの機能が集約されています。
レバーの上下で座面の昇降。
前にスライドすれば座面を前後調整。
真ん中はロック。
後ろにスライドすればリクライニングが可能になります。
リクライニング時にレバーを真ん中に戻すと、リクライニング位のままロックがかかります。
リクライニングテンション
ここを回す事でリクライニングの緩さを調整できます。
前額面(背面)
こうして見るとスタイリッシュで美しいデザインかもしれません。
バックレスト&ランバーサポートも動きます。
独立型ランバーサポートはエルゴヒューマン公式の推している部分のようです。
確かにここは優秀で、押す力に対して反発力が変化します。
座面の前後傾調整はこのネジが担います。
座面の裏側後方にあるので座りながらの調整は困難です。
後傾位から前傾位まで20mmほどの可動域があります。
ヘッドレスト
上下の角度5段階とヘッドレスト自体の高さが調整可能です。
キャスター
ウレタンキャスターが採用されているのでフローリングを傷つけにくいそうです。
ただチェア自体の重さが強烈なので、結局は床に跡がついたり、床板が捲れたりする未来が見えます。
無難にチェアマットを敷いておくのが良いのかもしれません。
実際の使用感
通常使用時
高評価レビューと値段ほどの期待感をもって座った時の第一印象は拍子抜けを食らいました。
が、長時間作業してはじめて「なるほど良く出来ているな。」なんて納得しました。
弾力のあるメッシュのため程よいホールド感がありますが、姿勢を動かした時には邪魔をしません。
そして長時間座ってもお風呂上がりに座っても蒸れない。
とても快適です。
私が好んで座る姿勢の足組み。
これまた好んで座るあぐら。
私はあまりしませんが座面で正座。
女性が好む横すわり。
これらはアームレストをつけた状態でも可能です。
座面横幅も最大50cmほどあるので左右に余裕があります。
リクライニング時には、湖畔でボートに寝転がって空を見上げているような心地よい浮遊感があります。
ハンモックのような乗り心地とはまた異なる、下から水の浮力で持ち上げられているような浮遊感です。
エルゴヒューマンユーザーに「そうそう!そんな感じだよね!」とお返事いただきましたので、表現としては間違っていないようです(笑)
私は腰痛ではないのでリクライニングテンションゆるゆるにしていますが、腰痛が気になる方はまずはテンションきつめで座面の前傾角度大きめの状態で設定されると良いかもしれません。
腰痛にもさまざまな要因がありますが、やや骨盤前傾位であれば腹圧を高められるので多くの腰痛には除痛効果が期待できるかと思います。
ギター使用時
ここからはニッチながらも需要はありそうなギター使用時のレビューです。
アームレストを最大まで開いて下げ、そしてここから座面を前に引っ張るとこんな状態です。
なかなかに広いスペースが確保できます。
この状態であれば、浅めに座る事で弾けない事はないレベルです。
正直アームレストが邪魔ですが...。
①足組み+6弦
②逆の足組み+7弦
③クラシックフォーム+6弦
一般的な演奏姿勢であろう①にて話を進めていきます。
この①の姿勢で演奏時には、アームレストとギターのボディバックは5cm前後程余裕があります。
ボディのぶ厚いシェイプだとぶつかってしまいそうな気もします。
先述のとおりアームレストが柔らかい素材なのでボディにぶつかっても傷はつかないと思います。
ネック側はもちろん余裕があります。
それでもアームレストが邪魔な場合は外して使用することが可能です。
コンテッサのようにアームレストにリクライニングボタンが付いていたり等、複雑化している椅子は外す事が出来ませんので、ある意味エルゴヒューマンの良い点かもしれません。
アームレストは支柱の根元に六角ネジで固定されています。
一般的な六角レンチの4mmで緩められます。
外してみました。
写真が曲がってますがこのようにかなりスッキリします。
座面に深く座ってものびのびと弾けます。
ストレスなく弾くにはやはり無い方が良いなぁ。
弾きながらよく動く方や、テクニカルな演奏方法をされる方は外したほうが良いように思います。
気になる点
ここまでは良い点を多く挙げてきましたが、ここからは「気になった点」を挙げていきます。
1.ヘッドレストの前後調整機能が欲しい
骨盤前傾している作業時にはまったく気になりませんが、寄りかかって仮眠を取る際にヘッドレストが前すぎる事が気になります。
特に私のような座高の低い人は顕著だと思います。
構造上バックレストよりもヘッドレストが前に飛び出ているため、寄りかかると頚部が軽度屈曲位になります。
分厚い枕で寝ているような感覚があり、薄い枕派の方には不快だと思います。
アジャスト機能を謳うならこの部分まで調整可能であると良かったです。
2.アームレストの調整機構が緩い
簡素なのが良いと書きましたが、簡素すぎる点は少々気になります。
アームレストの天板部分はネジ留めされておらず、スライドするだけで簡単に動いてしまいます。
ぶつかった拍子に調整がズレてイライラすると多々レビューを見ましたが、確かにその通りです(笑)
ここまで簡素にするならいっそ跳ね上げ式にして欲しかったです。
高さ調整や剛性の理由から跳ね上げ式には出来なかったのでしょうけど...。
異音対策
修理は自己責任でお願いいたします。
ここからは異音対策についてです。
先述のとおりリクライニング時に異音が鳴ります。
症状はチェアに乗った瞬間とリクライニングで後ろに寄りかかった際にバキバキ。
ゆっくり寄りかかっても段階を踏むようにバキッバキッと強烈な音がします。
壁の薄いアパートなら壁ドン案件です。
でもこれはどのリクライニングチェアでも経年変化として起こりうる症状ですよね。
保証期間で本社へ送り返すのも面倒ですし、自ら直せる自信があったので購入しました。
ほとんどの場合原因はここです。
座面と支柱の間。
ここにゴミが溜まったり、油が無くなる事でバキバキ音がなります。
椅子を床に倒し、写真の丸印の部分にタオルを当てプラスチックハンマーで強めに叩きます。
何度か叩いたらキャスター側の支柱を無理矢理引きます。
叩く→引く→叩く→引く...
これを続けていくと突然ボコっと外れます。
私の場合は外すだけで15分近く格闘しました。キツすぎ。
あとは支柱と座面の穴部分をキレイに拭き、KURE 5-56や機械用グリースを塗布してあげればオッケーです。
この方法でリクライニングしてもバキバキ音は完全に無くなりました。
探してみたら私とまったく同じ方法で外していた方がいらっしゃいました(笑)
総評
ここまで長々とレビューを書きましたが、個人的総評はなかなかに良いです。
「世界観が変わるほど良いというレビュー通りか。」とご質問いただいたら、間違いなく「それはない。」とお返ししますが、この快適さ水準まで到達した物は他に無いと思います。
作業も休息もその場で取れてしまい、かつ長時間座っても疲れにくいし蒸れない。
素晴らしいです。
あとは先述の「気になる点」を改善していただけたら言うことありません。
あとがき
この記事を編集している時にも座っているわけですが、長く座るほどに良い椅子だと再確認します。
お財布が許すなら買いだと思いますが、まずは一度実物に触れてみる事を推奨します。
ちょいちょい座面を調整する方や、私のようなアームレストに重きを置かない方はドンピシャだと思います。
最近はコクヨの「ing」など面白い機能を持つ椅子も発売されているので、更に快適な物が出てくるかもしれませんが当分はこの椅子で満足できそうです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【2018.10.14追記】
半年使用したレビューを記事にしました。